「暗い、汚い」マイナスイメージを一掃へ・・・地す下鉄駅改修が活発2023年3月
守山区を除く市内15区で営業し、市民の足となっている名古屋市営地下鉄。1957年11月に名古屋−栄町間で営業を開始して以来、順次、営業距離を拡大し、現在は全6路線、93.3キロで運営が続けられている国内有数の地下鉄です。
開業から60年以上経過しているなかで、「明るく清潔感のある快適・便利な駅空間を提供するため」、現在、順次駅のリニューアルが進められています。
計画では、開業から50年以上経過している駅のうち8駅のリニューアルが進められることが決まっていて、2023年4月現在、千種駅、上前津駅、名城公園駅で工事がはじまっています。
千種駅
皮切りは東山線の「千種駅」。JR中央線との結節駅でもある”要衝駅”で、一日平均50,214人(2019年度)の乗降客数を誇る主要駅の一つです。リニューアル工事は2020年11月から開始され2年余りの工事期間を経て、すでにほぼ終了しています。
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以前は、コンクリートの味気ないフロアでしたが、木目調のフロアに変わり明るく温かな印象になりました。
トイレも大幅にリニューアルされました。インバウンドの増加による訪日外国人客の利用を見越して、トイレもすべて様式に改修されました。地下鉄のトイレというとどうしても「暗い、汚い」というイメージがつきまといますが、デパートのトイレではと思うほどキレイに整備されました。
上前津駅
千種駅の次にリニューアル工事がはじまったのは名城線と鶴舞線が交差する「上前津駅」。名古屋随一の商店街「大須商店街」の最寄り駅で乗降客数は49,161人/日(2019年)と、こちらも主要駅の一つです。千種駅のリニューアル工事の開始から2年遅れて2022年6月に工事が開始されました。
写真右側、通路の壁が白いパネルに覆われています。天井も取り外しが進んでいて配管が剥き出しになっています。フロアも張り替えされると思われますが、現在はまだ古いタイルのままです。
改札口周辺の写真です。駅の開業は1967年。50年以上経過しているだけあってかなり年季が入っています。駅の雰囲気は全体的にいまだ薄暗いままです。
リニューアル後のイメージ図を見る限り、今後、天井やフロア、それに柱などが大幅にリニューアルされて大きくリフレッシュします。
名城線の栄方面のホームではすでに一部フロアの張り替えが進んでいました。これだけでホーム全体がかなり明るくみえます。
上前津駅のリニューアル工事は2024年10月下旬まで。今後どのよう変貌するかが楽しみです。
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名城公園駅
同じ名城線の「名城公園駅」でも今年(2023年)1月からリニューアル工事が始まりました。
工事が始まっていてまだ3ヶ月あまり。一部にトラ柵などの設置が進んでいますが本格的工事はこれからといったところです。
乗降客数は10,919人/日(2019年)とそれほど利用客が多い駅ではありませんが、2026年に名古屋で開催されるアジア競技大会に合わせて建設が進められている新「愛知県体育館」の最寄り駅となることもあり、今後、飛躍的に利用客が伸びるポテンシャルを秘めています。
地上部分の写真です。写真右側が新「愛知県体育館」です。駅の真上を走る大津通の中央分離帯でトラ柵で囲われています。「名城公園駅」のリニューアルでは、駅から新体育館に通じる地下通路の整備も進んでいます。リニューアル工事は2025年2月まで続けられる予定です。
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“コロナ禍”の影響を受けて2020年度と2021年度の2年連続で赤字決算となった名古屋市営地下鉄(2020年度 87億円の赤字、2021年度34億円の赤字、2022年度の決算は未発表)。コロナ禍も収束し、今後利用客も回復に向かっていくとみられ、地下鉄にとって2023年は”反転攻勢の年”となります。依然、2,118億円(2021年度末現在)の巨額の累積赤字を抱える名古屋市営地下鉄ですが、財務改善を極度に意識するあまり地下鉄の魅力そのものがなくなってしまっては元も子もありません。こうした投資を継続することにより、今後もグレードアップし続けてほしいと思います。