2023年年頭に考える③ 回復鈍いオフィス需要に絶好調のタワーマンション・・・名古屋の不動産市況の今後は!?
2022年4月に名駅地区にオープンした高層オフィスビル「名古屋ビルディング桜館」。去年(2022年)末になって、宝石専門の通販チャンネルの「GSTV」の名古屋ショールームがテナントとして入ることが明らかになりましたが、依然、そのほかにテナント入居の動きはみられません。
「名古屋ビルディング桜館」の現況についてはこちら
オフィス仲介の三鬼商事が、毎月出している名古屋ビジネス地区のオフィスマーケットの現況によりますと、2022年11月時点の名古屋都心部のオフィス空き室率は5.56ポイント。2020年1月には1.91ポイントだった空き室は、”コロナ禍”を受けて、2021年10月には5.39ポイントに上昇。以後、一年以上に渡って5%を超える数値で高止まりしています。
新築ビルはなかでも厳しいようで、空き室率は32.40ポイントにものぼっています。建築資材の高騰などを受け、厳しい市況にあっても賃貸料の値下げに踏み切れないという事情などがあるようです。
これに対し、タワーマンションなど新築の大型マンションの売れ行きは絶好調のようです。名駅南地区で建設中の超高層タワーマンション「NAGOYA the TOWER」(【仮称】名駅南二丁目計画、地上42階、地下1階、高さ149.10m、総戸数435戸)では、最上階42階の4億円の部屋がすでに成約済みとなるなど、高価格帯のマンションにも関わらず、販売戸数を大幅に超える応募が殺到する人気のようです。特に”名駅まで徒歩圏内”という立地が人気の理由の一つのようで、購入者の1割は首都圏の人だということです。品川-名古屋間のリニア開通と在宅勤務が徐々に進行するなか、マンション価格が上昇してきているとはいえ、東京都心と比較すると割安感があることから、名古屋の都心部でマンションを購入し、在宅勤務をしながら月数回東京のオフィスに出社するという生活スタイルが選択肢の一つになってきている結果だという人もいます。
特に名駅南地区は、名駅徒歩圏内にも関わらず、あまり有効利用されてこなかった用地がたくさんあり、こうした需要の受け皿となるべく今後、タワーマンションの建設となる可能性がかなり高い気がします。
オフィス賃貸市況の停滞と分譲マンション市場の活況・・・。”コロナ禍”が招いた社会構造の変化といってしまえばそれまでですが、やはり、オフィス賃貸市況の停滞は心配の種です。ただ”コロナ禍”から徐々に平常が戻り初めている現在、オフィス空き室はわずかではありますが9月以降3ヶ月連続で下落していて、少しずつ明るい兆しもみえはじめています。
今年夏には栄地区に新「中日ビルディング」が竣工を迎えます。オフィスフロアが市場に大量に供給されるなかで、それを上回るオフィス需要がなければ、空き室率はさらに上昇し、今後の再開発計画にも影響が出かねません。
2023年はオフィス需要が本格的に回復軌道に乗ることを願うばかりです。