あおなみ線 中部国際空港直結計画
名古屋駅と金城ふ頭駅の15.2キロを結ぶあおなみ線。名古屋市(76.9%)、愛知県(12.6%)、JR東海(3.25%)などが株主となり第3セクター方式で2004年から運営されている鉄道路線です。開業当初は、利用者に伸び悩み2011年に経営破綻。愛知県と名古屋市が440億円の公的資金を投入して事業再建計画中です。その後、鉄道博物館やレゴランドなど沿線開発が進んだことを受け、徐々に利用客は増加。開業当初、一日あたり1万8,000人だった利用客は、レゴランドが開業した2017年には4万3,000人にまでになりました。
現在も272億円あまりの累積赤字を抱えているものの2018年度には、6億7,500万円あまりの単年度経常黒字となっていて、現在ではわずかではありますが利益を産み出している立派な黒字路線です。
このあおなみ線で、現在持ち上がっているのが中部国際空港直結計画。現在の路線まで延伸して利便性をあげようという計画です。
延伸案にはおもに2つありますが、より現実的とされているのが、金城ふ頭駅から海底トンネルをとおり、新舞子で名鉄常滑線に乗り入れ中部国際空港までつなぐ案です。ただ個人的見解ではありますが、この案はかなりハードルが高いと思います。ネックになると思われるのは、名鉄が乗り入れを許すかどうか?現在、中部国際空港までのアクセスは名鉄が独占している状態。名鉄が全くメリットを感じることができない乗り入れを認めるとはとても思えません。
もう一つが、あおなみ線から中部国際空港まで直接アクセスする延伸案。
この場合は、中部国際空港からの輸送力が飛躍的に強化されるのが最大のメリット。また、乗り入れによる名鉄との調整も必要ありません。
ただこの2つの案、いずれも最大のハードルはお金。一つ目の案で800億、二つ目の案で2000億のお金が必要とされています。前出したようにあおなみ線の年間の経常利益の額は6億7,500円。たしかに、新たに800億から2,000億の資金を投入して新たな空港アクセス鉄道をつくるというのは、正気の沙汰とは思えません。
ただ、あおなみ線は第三セクター。利益の追求が最大目的の民間企業とは異なり、ときには県や市が公益性を考えて、利益度外視の投資をするということも重要なのではないでしょうか?
リニア開通後、中部国際空港は「首都圏第三空港」としての機能も期待されています。ただ現状のアクセスで、その役割を十分担えるかというといささか心細いと言わざるを得ません。個人的には、名鉄乗り入れ案ではなく、空港に直接通じる線路の建設が必要なのではないかと感じています。
名古屋が大きく飛躍するために・・。県や市のトップには、英断が必要なのではないでしょうか?