年頭に考える② 浮上のカギは訪日外国人！？名古屋の観光需要の未来を考える
昨年(2022年)秋、3年間続いた”コロナ禍”を受けて厳格に続けられていた渡航制限が段階的に緩和され、東京、大阪の中心部では連日、数多くの訪日外国人客の姿をみるようになりました。
セントレア(中部国際空港)でも2023年1月1日時点の国際線旅客便数が、前年同月の5倍の週94便に増加。前月12月1日と比較しても24便増加していて、コロナ禍前のピーク(週486便)にはいまだ遠く及ばないものの徐々に回復傾向が続いています。ただ、名古屋市内では名古屋城周辺など一部を除き、街中で訪日外国人客の姿をみることはまだほとんどありません。
下のランキングはコロナ禍前の2019年の訪日外国人客の都道府県別ランキングです。
1. 東京都（1410万人)
2. 大阪府（1153万人）
3. 千葉県（1048万人）
4. 京都府（830万人)
5. 奈良県（350万人）
6. 愛知県（269万人）
7. 福岡県（260万人）
8. 北海道（239万人）
9. 神奈川県（234万人）
10. 沖縄県（183万人） (BonusFinder調べ)
愛知県は269万人で第6位。ある意味予想通りではありますが、東京や大阪などに大きく水を開けられていることに加え、第7位の福岡県、第8位の北海道と大差がありません。
ただ、近い将来、この愛知県の訪日観光客数は、他県と比較しても大きく伸びることは間違いないと思われます。その理由は現在、品川-名古屋間で建設中のリニア中央新幹線。大井川の水源問題で、開通が遅れることは確実視されるものの、開通後、名古屋は新幹線とリニアの交通の結節点となります。名古屋を拠点に新幹線で大阪や京都にいったり、東京までリニアで向かうという訪日観光客が増えるのは間違いないと思います。名古屋にとって、訪日観光客を対象にした観光業は、大きな”のびしろ”といえます。
しかし気になるのは、同じ2019年の訪日外国人客の消費額の都道府県ランキングです。
1．東京都（15388億円）
2．大阪府（8468億円）
3．北海道（2888億円）
4．京都府（2794億円）
5．福岡県（1833億円）
6．沖縄県（1767億円）
7．千葉県（1662億円）
8．愛知県（1644億円）
9．神奈川県（1260億円）
10．兵庫県（539億円）
消費ランキングになると、訪日客数では上回っていた北海道、福岡県、沖縄県に抜かれ、愛知県は8位に転落します。理由は簡単で、訪日観光客一人あたりの消費額が、これらの都道府県より大幅に低いためです。
1．北海道（12.1万円）
2．東京都（10.9万円）
3．沖縄県（9.7万円）
4．埼玉県（7.4万円）
5．大阪府（7.3万円）
6．福岡県（7.1万円）
7．鹿児島県（6.3万円）
8．愛知県（6.1万円）
9．香川県（5.6万円）
10．茨城県（5.48万円）
訪日外国人にとって愛知県は単なる通過点で、俗な表現でいえば”お金を落とす場所”ではないことが明らかといえます。”観光大県”になるためには、交通の要衝というだけでなく、魅力的な観光スポットの整備が不可欠です。
2017年には名古屋港にレゴランドジャパン、去年(2022年)11月、長久手市の愛・地球博公園内にジブリパークが開園しました。名古屋城やテレビ塔だけでなく、訪日外国人客でも楽しめるスポットが、この5年で徐々に増えてきました。
さらに2025年のオープンに向けて整備が進められている「エスパシオナゴヤキャッスル」など、いままで名古屋市内にはなかったような超高級路線のホテルの整備も着々と進められています。
三谷・南知多・西浦の温泉郷や、日間賀島、篠島などの離島、茶臼山の芝桜等々、愛知県には、まだクローズアップされていない観光スポットも、たくさんあります。ポテンシャルは十分すぎるほど十分です。
外国人の方に、交通の拠点だけでない名古屋の魅力をどのように発信するか？が今後の大きなカギとなります。