リニア開業に大きく前進!?・・・「大井川水資源問題」でJR東海が新提案
品川と名古屋を40分で結ぶリニア中央新幹線。JR東海が2027年の開業を目指して工事を進めていますが、”大井川水資源問題”の硬直化により、計画通りの2027年の開業はほぼ絶望的となっています。ただ先月(2022年4月)JR東海が問題解決に向けた新たな案を提案し、事態が大きく動き出す可能性が出てきました。
”大井川水資源問題”とは、リニア中央新幹線の建設にあたり、静岡県の北端にあたる南アルプスを横切るトンネル工事をする際に、トンネル内から湧き出た大井川水系の水が戻らず、大井川の水量が減少する可能性があるため、島田市や藤枝市など大井川の水資源の恩恵を受けている大井川流域の静岡県の自治体が工事に重大な懸念を示しているというものです。
これに対し、静岡県は「大井川湧水」の”全量戻し”ができない限り工事は認められないとしていて、2年ほど膠着状態が続いていました。
そんな中、先月末、JR東海が新たな解決策を提案し、事態が大きく動き出す可能性が出てきました。
新たな提案では、東京電力田代ダムの取水を抑制することで、大井川の水量減少分を相殺するとしています。この案についてJR側は「東電側の理解は得ている」、静岡県の川勝知事は当初、国や県、流域市町村、発電事業者が交わした水利権の合意事項を前提として「多くの利害関係者による紳士協定によそ者が勝手に入ってきて『水をよこせ』と乱暴なことをしている」と強く批判していましたが、流域自治体から「現実的な議論への第一歩」(島田市 染谷絹代市長)、「検討に値する」(掛川市 久保田崇市長)などの声が上がりました。
これを受け、川勝知事もゴールデンウイーク明けの記者会見で、「検討に値する」と発言を修正しています。
まだ”検討の第一歩”ではあるものの、議論がこれまで平行線を辿ってきたことを考えると大きな進展と言えます。”夢の超特急”が一日でも速く実現するためにも、関係者の方々が建設的な意見交換をすることを祈るばかりです。