愛知県の推計人口は754万1 ,887人(2019年3月1日現在)。東京都(1388万5,101人)、神奈川県(918万0,518人)、大阪府(887万7,436人)に次いで全国4位の人口を抱えています。人口動態をみると出生、死亡による自然増減は一年間で-5,814人ですが、転入転出などによる社会増減は+18,484人で、年間の人口増加は+12,274人となっています。
つまり、人口減少社会を迎えているなかで、生まれてくる子供より、亡くなる方の方が多いものの、他の都道府県や外国人の流入がそれよりも多いため人口が増加しているということ。持続的な好景気にも支えられて、関西圏を含め全国のほとんどの地域から流入超過となっています。
しかし、ただ一つ首都圏だけは愛知県から転出する人の方が多い転出超過となっています。なぜなのか?
おそらく多くの人が思うことは「東京の方が働き口があるからじゃない?」ではないでしょうか?ただこれ、実は全くの誤解です。
愛知県の完全失業率は1.7%、対して東京都の完全失業率は2.6%(ともに2019年2月の数字)。全国的に人手不足が続くなか、双方とも低水準ですが、「働き口」自体は、愛知県の方があるのです。愛知県の1.7%という数字は超人手不足。たしかに、県内で「人手不足で困っている」という声をよく聞きますが、まさに緊急事態といえるのかもしれません。ちなみに全国の完全失業率は2月の数字で2.3%。東京は実は全国の平均以下なのです。通称「移民法」と言われる「改正入管法」がこの4月から施行されて議論を呼んでいます。私自身、人手不足を解消するため安易に外国人労働者に頼るのは好ましくはないと思っているものの、相対的に人手不足が深刻ではない東京を拠点に活動をしている評論家の方々が「移民法反対」と論陣を張るのも、ある意味無責任な発言なのでは?と感じます。
「やりたい仕事が名古屋にはなく、東京にしかない」「街が東京の方が魅力」などの理由で愛知県を離れ、働き口を求めるために上京するという気持ちもわからなくありませんが、「超人手不足」の愛知県を出て、相対的に「人余り」の状態にある東京に移るという行為は、経済的にはかなり「不合理」な行動なのです。
政府が地方創成など声高に叫んでも、ほとんど効果がなく東京の一極集中が加速しています。しかし、実は東京に数字に裏づけられた「吸引力」がないなかで、有効な打開策さえ打ち出せれば、一極集中というのはすぐに是正できるのでは?と思います。