笹島活性化に 地下鉄東部線を
2017年10月にまちびらきをしたささしまライブ。かつての国鉄貨物駅の跡地で、長い間再開発計画が練られてきた新しい街です。グローバルゲートの他、中京テレビ、愛知大学などが移転し、平日は賑わっています。
しかし休日は、意外と閑散としています。まだ発展途上の街とはいえ、名古屋の都心にしては、少し寂しい気がします。
理由のひとつとして考えられるのは、公共交通機関の貧弱さ。笹島には、敷地の西端にあおなみ線の「ささしまライブ駅」があるだけです。
「ささしまライブ駅」の乗車人数は年間で90万5,527人(2017年)。一日平均で2,500人程度です。あおなみ線は15分に一本と本数もあまり多くなく、徐々に利用客は伸びてはいるものの公共交通機関を利用して笹島にくる人の多くは、名古屋駅から1キロ弱の道のりを歩いて来ているのが実状です。
今後の笹島の発展には、公共交通機関の充実は欠かせません。
上の図は、1992年の国の運輸政策審議会に出された名古屋の地下鉄将来構想図です。この基本構想を下に、これまで地下鉄4号線(名城線環状線)、桜通線などの整備が進められてきました。ただその後、地下鉄が抱える累積赤字や、人口減少社会の突入で新線をつくる時代ではないという雰囲気もあり、現在、地下鉄の延伸は凍結されています。
たしかに、1992年時点の計画のなかには多少、過剰投資ではないかと思う新線計画もありますが、笹島から東山線と平行して高針の方まで行く地下鉄東部線計画は、笹島のさらなる発展や東山線の混雑分散などの意義を考えても、建設が適当なのではないかと思います。
交通局が新線凍結の理由に掲げている地下鉄の累積債務は2,310億円(平成29年度末)とたしかに巨額ではありますが、同時に現在、地下鉄は年間160億を越える黒字を計上しています。単純計算をすると15年ほどで累積債務が0になります。実際はそれより早く0になるのではないでしょうか?東京や大阪では、ここ最近明らかに鉄道網の新線計画が活発化しています。このまま「地下鉄の凍結」に固執すると、名古屋の地盤沈下は避けられない気がします。
また「ささしまライブ駅」の反対側(東側)には、JR線と名鉄線が走っています。(写真の高架部分)。
ここに行政主導で笹島総合駅のようなものをつくるのはどうでしょうか?開発前は「都心最後の宝の島」とさえいわれた笹島地区ですが、このままでは中途半端な街で終わってしまうような気がしてなりません。「宝の島」になるためにも、さらなる行政の努力が必要です。