計画スケジュールが白紙に・・・「名鉄名駅再開発」の今後は? 2025年12月
衝撃的で残念なニュースが飛び込んできました。突然、名鉄が2033年度にオフィスや商業施設の開業、40年代前半に全面開業を目指すとしていた名駅地区の再開発事業のスケジュールを一旦白紙にして、すべて「未定」とすることを明らかにしました。あわせて現計画の再検証と見直しについても言及していて、計画自体、頓挫する可能性すら出てきました。

スケジュール白紙の原因
原因について名鉄は、当初2026年度から予定されていた解体・新築工事の予定者選定を進めていたところ応募予定者から人材確保が困難として入札辞退届が提出されたことや、概算工事費や工事期間が当初の予定を大幅に上回ることが明らかになったことを挙げています。慢性的な人手不足や建築資材の高騰が当初予想をはるかに上回ったため一旦、白紙にせざるを得ないとのことのようです。
きっかけは「麻布台ヒルズ」?全国で相次ぐ大規模再開発の白紙撤回
「中野サンプラザ」や「五反田TOC」、「新宿駅南口再開発」に「博多駅空中都市プロジェクト」、「札幌駅前再開発」・・・
ゼネコンの辞退などにより、こうした大規模再開発が、延期や中止に追い込まれるケースは、ここ最近、枚挙にいとまがありません。2020年以降出された再開発計画で、計画どおり進められたのは一つもないといっても過言ではありません。
開発業者とゼネコンの力関係の変化・・・。
きっかけの一つとなったのは、計画から完成まで35年の歳月をかけて行われた大規模再開発「麻布台ヒルズ」です。このプロジェクトを受注した清水建設や三井住友建設は、人件費や資材費が想定以上に膨らんだため数百億円単位の大きな赤字を計上したと言われています。事業期間が長いプロジェクトは、ゼネコンにとっては大きなリスクを背負う構図となっていて、ゼネコンの間で大規模な再開発を回避しようとする流れができてきてしまっているようです。
今後予想される展開は?
既存施設解体直前の突然の計画変更ということもあり、すでに来年(2026年)2月で閉店することが決まっていた名鉄百貨店は、そのまま計画変更なく閉店がされるようです。一方で3月に閉館予定だった「名鉄グランドホテル」や同じく3月に閉鎖となる予定だった「名鉄バスセンター」は、しばらく営業を続ける予定のようです。今後について名鉄は「26年度中に何らかの方針を出したい」としていますが、現行の計画では工事費が想定を大幅に上回ることが確実で、今後は工事費をどこまで捻出できるのか?を再検討した上で、計画縮小をすべきかどうかの判断がなされるものと思います。
名鉄にとっては、社運をかけた再開発なだけに、安易に計画縮小という道を選ぶと、後々、禍根を残すことにもなりかねないのでは?と思います。少し時間がかかってもなるべく現計画を維持する方向で進めてほしいものです。